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Korea· Japan Composers Exchange Project Concerts

앙상블 아인스 アンサンブル・アインス - 한국·일본 작곡가 교류 연주회 日韓作曲家交流コンサート

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2024. 09. 30 (Mon)

Shiodome Hall, Japan

キム・ヨハン Yohan Kim

도구화된 현들 : 그것 자체의 도구성의 의한 (Instrumentalized Strings: By Its Own Instrumentality) for String Quartet (2024, wp)

​- VnI. Minjeong Kang, VnII. Hwahyun Song, Va. Sangmin Lee, Vc. Youna Ju

最近、私が美的に関心を持っていることの一つは、異なるものの間で行われるコミュニケーション、すなわち「異種間コミュニケーション Interspecies communication」である。たとえば、人間と非人間との間で行われるコミュニケーションもその一例である。人間と非人間のコミュニケーションは、音楽という芸術の中で一つの集団的ファンタジーを生み出すように思える。音楽を作る人、演奏する人、聴く人、それぞれが異なる「コミュニケーションの方法」で音と関係することで、音楽作品を聴くこと自体が、音と人間のコミュニケーションの「場 Field」となるのである。

このようなコミュニケーションの場を形成するにあたり、多くの作曲家は音を配置したり構造化したりすることで、音という対象の有機性について考慮する。この観点からすると、西洋芸術音楽の歴史は音同士において有機性を作り出す歴史であると言えるだろう。旋律、リズム、和声など作品内の構造から、楽想、動機、さらには作品外の構造まで、こうした有機的な構造を獲得しようとする試みは、ルネサンス時代から現代に至るまで継続的に行われているように思われる。

この歴史の流れの中で、音という対象は(自然的にも人工的にも)一つの道具性を歴史から付与されたのだと思う。まさに有機性を生み出す道具としての音高、音程である。音の高さを区別すること、その区別を基にさまざまなカテゴリーを作り、区別された高さを構造化する。そして、このような道具性は、社会の共有する知識の一部となり、演奏者や聴衆も、このような道具性の上で音を理解し、享受する。そのことが教養的な行為とされてきたのである。

しかし、私の考える人間と非人間とのコミュニケーションは、このような歴史を通じて、また歴史を否定する形でも成り立つと思う。それは、歴史によって付与された道具性を通して、対象そのものが本来持つ道具性を見つける方法である。

ぴんと張られた、あるいは緩んだ弦は、それ自体が持つ道具的な性質を備えている。区別の難しい音の高さの連続性や、弦の配列から生まれる関係性、張力によって現れる制御性と非制御性は、認識し難い区別と多くのカテゴリーを作り、それ自体が機能しないような構造を生み出す。これらの性質を全面に出す作品の展開は、楽器(道具)そのものとコミュニケーションの「場」を形成していくのである。

韓国ソウル生まれ、作曲家を志して2011年に渡日。国立音楽大学および同大学院作曲科ともに首席卒業と修了。同大学院博士後期課程修了。博士号取得(DMA)。作品理解に関わるアイロニーと、それを無効化するユーモアをテーマに作品創作を行う。近年では韓国のソウル、ドイツのベルリン、ケルン、オーストリアのウィーン、スウェーデンのボロスなどで作品発表を行った。2021年初の個展「Kim Yohan Composer Solo exhibition 曖昧|複雑|偶然…の聴取」をアーツカウンシル東京スタートアップ第1回の助成を得て東京で開催、雑誌『みらいらん』第9号において作曲家の伊藤祐二氏による好評を得た。

森 紀明 Noriaki Mori

Warum ist das Fragen Sinnlos?

for Clarinet,Violin and Piano (2018/23)

- Cl. Minwook Kim, Vn. Hwahyun Song, Pf. Haesung Yoon

カフカが27歳の時に書き始めた日記には、病弱で、家族や友人から孤立し、人間関係もうまくいかない日常の様子が書き綴られており、彼の小説から受けるイメージとはまた異なるカフカ像を見出すことができます。日記は死の前年まで書き続けられ、彼の日常的な悩みや不安のほかにも、小説のスケッチや哲学的な考察から彼が見た夢の記録に至るまで、様々な事柄が書かれることになりました。本作品は、カフカの日記から引用した以下の断片的なテキストがタイトルとして付けられた、長さとキャラクターの異なる4つのモノローグから構成されており、全て続けて演奏されます。

 

Nichts als ein Erwarten, ewige Hilflosigkeit.

ある期待のほか何もなし、永遠の寄る辺なさ。

 

Der Anruf

呼びかけ。

 

Alles zerreißen.

何もかも引き裂くこと。

 

Im Frieden kommst du nicht vorwärts, im Krieg verblutest du.

平和な時にはお前は前へ進まない。戦争の時には出血多量で死ぬ。

東京を拠点とする作曲家、キュレーター。自身のバックグラウンドを活かした幅広いアイデアをもとに、作品ごとに異なる作曲手法や素材を援用し、様々な芸術分野を超えて作品を発表している。リサーチ型作曲家コレクティブ、Cabinet of Curiositiesの代表を務めるほか、領域横断型アーティスト·コレクティブ、Crossingsなどの活動を通して他ジャンルのアーティストとのコラボレーションも多い。これまでに作品は、ダルムシュタット現代音楽講習会、アハトブリュッケン音楽祭、モントリオール·ジャズ·フェスティバル、武生国際音楽祭を含む北米、ヨーロッパ、東アジア各地で演奏され、WDR3でも放送されている。

イ・キョンミ Kyungmee Rhee

빛으로 부터 (From the Light)

for Flute, Oboe,Violin and Piano (2016, jp)

- Fl. Byungchul Oh, Ob. Hyojung Ahn, Vn. Minjeong Kang, Pf. Haesung Yoon

​私は光を通して物を見て、感じ、考える。  

その光は物理的な光かもしれないし、私の魂からの光かもしれない。  

私はその光から、  

その光を通して…見る。

イ・ギョンミはソウル大学校音楽大学作曲科および同大学院を卒業し、コロンビア大学で音楽学の博士号を取得しました。彼女は主に韓国の伝統楽器と西洋楽器を融合させた作品を研究しています。韓国作曲賞を受賞し、アジア作曲家連盟韓国委員会の会長を務めました。現在、(社)韓国作曲家協会の会長および漢陽(ハンヤン)大学校音楽大学の学長を務めています。

稲森 安太己 Yasutaki Inamori

Mumbling Flute, Reinforced

for Flute Solo with Clarinet,Violin and Violoncello (2013)

​- Fl. Byungchul Oh, Cl. Minwook Kim, Vn. Hwahyun Song, Vc. Youna Ju

《まごつき笛、拡声》(«Mumbling Flute, Reinforced»)は2013年に作曲された、3つのオブリガート楽器を伴うフルート独奏曲である。2012年にフルーティストのカミラ・ホイテンガ氏に作曲した独奏曲《まごつき笛》が基になっている。独奏版ではフルートのヴィルトゥオジティを駆使して極めて繊細で立体的な対位法的書法を試みているが、その初演時に感じた響きの遠近感を小編成の室内楽と共演させることで、より浮き彫りにすることができると考えて作曲した。もごもごと言葉にならない言葉を発しようと足掻くフルートの可笑しみが、高度の演奏技術でさりげなく表現される。本作は2013年のヴィッテン室内現代音楽祭でアンサンブル・ハントヴェルクによって初演された。

1978年東京生まれ。東京学芸大学にて作曲を山内雅弘氏に、ケルン音楽舞踊大学にてミヒャエル·バイル、ヨハネス·シェルホルンの両氏に師事。日本とドイツを中心にイタリア、アメリカ、ベルギーほかの国々で作品を発表。アハト·ブリュッケン音楽祭、ヴィッテン室内現代音楽祭、ミュンヘン·ビエンナーレ、武生国際音楽祭、サントリーホール·サマーフェスティバル等で作品が演奏される。2007年日本音楽コンクール第1位、2011年ベルント・アロイス・ツィンマーマン奨学金賞、2019年芥川也寸志サントリー作曲賞ほか。これまでケルン音楽舞踊大学、デトモルト音楽大学、洗足学園音楽大学で非常勤講師を勤め、2023年より熊本大学特任准教授。

パク・ミョンフン Myunghoon Park

Neon Debris

for Viola and Piano (2024, wp)

- Va. Sangmin Lee, Pf. Haesung Yoon

「Neon Debris」は、現代社会の表面的な華やかさとその下に隠された内面的な葛藤を音楽で表現した作品です。「ネオン」は、現代文明が生み出した人工的で表面的な美しさを象徴し、繁栄の外見を示しています。「Debris」(残骸)は、その華やかさの下に隠された断片化された内面、すなわち社会的な期待と圧力の中で傷つき、壊れてしまった自我を意味します。この作品は、社会的な役割を果たす過程で自分自身を消耗し、内面的に苦しむ現代人の葛藤を描いています。外部と内部、混沌と調和の間の緊張を探求し、内面的な孤独と現代人の社会的仮面という二重性を表現しています。

漢陽(ハンヤン)大学校音楽大学作曲科で作曲を専攻し、ドイツのケルン国立音楽大学で作曲と電子音楽作曲を専攻、デュッセルドルフ国立音楽大学で作曲を学びました。これまで、ドイツ放送局、デュッセルドルフ・トーンハレ、ケルン市文化局、ソウル市立交響楽団など、数多くの機関から委嘱を受け、また、韓国国立交響楽団のレジデント作曲家を務めました。現在、現代音楽アンサンブル「Ensemble Eins」の芸術監督として活動しており、漢陽(ハンヤン)大学校作曲科の准教授を務めています。

川島素晴 Motoharu Kawashima

Louange à Pi-Ce-Cla-Lin

for Clarinet,Violin,Violoncello and Piano (2022)​

- Cl. Minwook Kim, Vn. Minjeong Kang, Vc. Youna Ju, Pf. Haesung Yoon

(一社)日本作曲家協議会の委嘱により作曲。2022年11月16日、東京オペラシティリサイタルホールにおける「日本の作曲家2022 世の終わりに寄せて ―メシアン没後30周年 第2夜 acoustics の継承」にて、吉田誠のクラリネット、周防亮介のヴァイオリン、辻本玲のチェロ、大崎結真のピアノにより初演された。

 

題名は、編成をなす4つの楽器の文字から一部を採って(”PI”ano / “CE”llo / “CLA”rinet / vio”LIN”)繋げた造語。本作では更に、この編成を代表するメシアン《世の終わりのための四重奏曲》へのオマージュとして、本作の8部分それぞれが、8楽章からなるメシアン作品の各部と対応し、編成のコンビネーションや音楽素材を共有している。そして各部の題名が、作品題名と同様に各楽器の文字から一部を採った造語と、メシアン作品の題名から拝借した単語によって、そのことを象徴している。

 

1)”CE”llo + “PI”ano / clari”NET” + vio”LIN”

 チェピ・ネットリンの典礼 Liturgie de CePi NetLin

2)”CE”llo + vio”LIN” / “PI”ano + cla”RIN”et

 天使のチェリン・ピリン CeLin PiRin pour l’Ange

3)”CLA”rinet / “PI”ano + “CE”llo + vio”LIN”

 クラ・ピチェリンの深淵 Abîme de Cla PiCeLin

4)”PI”ano / vio”LIN” + “CLA”rinet + “CE”llo

 ピ・リンクラチェ間奏曲 Intermède “Pi LinClaCe”

5)”CE”llo / “CLA”rinet + vio”LIN” + “PI”ano

 チェ・クラリンピは永遠に Éternité de Ce ClaLinPi

6)”PI”ano + “CE”llo + “CLA”rinet + vio”LIN” (unison)

 ピチェクラリンの狂乱 Fureur de PiCeClaLin

7)”CE”llo + “CLA”rinet / vio”LIN” + “PIA”no

 混乱のチェクラ·リンピア CeCla LinPia en fouillis

8)vio”LIN” / “CE”llo + “CLA”rinet + “PI”ano

 不滅のリン・チェクラピ Immortalité de Lin CeClaPi

 

2/8, 2/8, 3/16, 2/8, 9/32, 10/32, 9/32, 2/8, 3/16 の9小節(9/4拍子相当)、16分音符と32分音符それぞれ24個(全48個の打点)からなるリズムパターンが、全曲を貫く共通したリズム構造として設定されており、その一連のリズムは、16分音符の連打から開始し9小節の間に様々なリズムを経て32分音符の連打に至る。これを細胞分裂に見立てており、生命活動を象徴している。またこのリズムは2倍、3倍、4倍等、様々な拡大にも対応し、一方で48個の打点を2音ずつ、3音ずつ、といった具合に反復音のリズムとして適用する等、様々な作曲技術が用いられている。

東京藝術大学、同大学院修士課程修了。作曲を近藤譲、松下功の各氏に師事。1992年秋吉台国際作曲賞、1996年ダルムシュタット・クラーニヒシュタイン音楽賞、1997年芥川作曲賞、2009年中島健蔵音楽賞、2017年一柳慧コンテンポラリー賞等を受賞。作品は国内外で多数上演されている。作曲活動の他、アンサンブル東風の指揮メンバー等、様々な演奏活動を行う。2017年より作曲作品個展のシリーズ、2020年より毎回異なる楽器によるリサイタルシリーズをそれぞれ定期開催。現代音楽の解説者としてTVやFMの番組に多数出演している。(一社)日本作曲家協議会副会長。いずみシンフォニエッタ大阪プログラムアドバイザー。国立音楽大学、及び大学院准教授。

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